継承される技術遺産

今回ご紹介するのは、Sonus faberの創業30周年を記念して2010年に発表されたフラッグシップモデル 「The Sonus Faber」。
世界限定30セット。日本への割り当てはわずか3セットという、極めて希少な存在です。
総重量約300kgにも及ぶ巨大なエンクロージャーは、単なる大型スピーカーという枠を超え、もはや家具、工芸、そして音響技術が融合した“作品”と呼ぶべき佇まい。
このスピーカーをダイナミックオーディオ5555店長、元祖High-End Audio Laboratory の川又に紹介してもらいましょう。
300kgには、理由がある
── 技術的には、どんなところが特徴ですか?
「一番大きいのはエンクロージャーですね“Anima Legata(アニマ・レガータ)”という当時新しい構造があって、太い金属シャフトをボディ内部に縦に通しているんです。上下から強く締め込むことで、木製エンクロージャーに張力を与え、不要振動を抑えるという考え方。イメージとしては、ウェイト・トレーニングのバーベルを縦に入れて、上下からギュッと締め込んでいる感じですね。さらに上下には、重量級のアルミ削り出しプレートを配置してあって、上のプレートだけでも相当重い。上下から包み込むような構造なんです。木工技術と金属構造が融合したアプローチです。」
低音は、実は“共同作業”
── ユニット構成もかなり特殊ですよね。
「そうですね。側面に38cmのサイドウーファーが付いているんですが、これは80Hz以下だけなんです。前面の28cmウーファー×2も260Hz以下を担当しながら、80Hz以下ではサイドウーファーと同じ信号を再生します。つまり、サイドだけが低音を鳴らしているわけじゃないんですよ。超低域を複数ユニットで支える、“共同作業”のような構造。その結果、量感だけでなく、自然な低域の繋がりにも配慮されていると言います。」

鳴らし込みまで含めて設計思想
── 接続方法も独特ですね。
「接続は、中高域/フロントウーファー/サイドウーファーの3系統を持つトライワイヤリング仕様。システム次第では複数アンプによるドライブも可能です。単純に“大きなスピーカー”という話ではないんです」
さらに特徴的なのが、Sonus faber独自の**“Stealth Reflex(ステルス・リフレックス)”**構造。
「背面には2基のバスレフポートを備えていますが、内部には多くのダンピング材が使われており、一般的なバスレフ型にありがちな風切り音や過剰な膨らみを抑える設計になっています。さらにリアには、角度調整可能な2ウェイスピーカー “Sound Shaper(サウンドシェーパー)” を搭載していて、前方だけでなく後方にも音波を放射することで、単なる音像再現ではなく、空間の広がりやスケール感まで補完する役割を担っています。押し寄せる音だけじゃなくて、後ろに広がる空気感を作るための仕掛けですね」

組み合わせ次第で、まだ化ける
アンプとの相性について川又は、Burmester や Solution との組み合わせを高く評価。一方で、一般的な真空管アンプよりも、高い制動力を持つアンプとの相性が良い印象だと語ります。
「でも、Octaveは別格でしたね」
得意ジャンルに寄せるのではなく、音楽そのものを受け止める器の大きさ。それもまた、The Sonus Faberが特別な理由なのかもしれません。
「フルオーケストラからジャズボーカルまで、本当に何でも鳴らせる。対応力の広さですね」
欠点? ありますよ(笑)
──では、欠点は?
「重量です(笑)300kgという数字は、音のための必然である一方、設置環境を選ぶという現実もあります。」
ただ、その重量もまた、このスピーカーが積み重ねてきた思想の一部。The Sonus Faberは、音そのものだけでなく、“どう鳴らすか”まで含めて設計された、極めて思想性の強いモデルなのかもしれません。
より詳しい情報はH.A.L.’s Brief Newsをどうぞ!
The Sonus Faber
発売当時定価 約¥36,750,000(ペア/税込)
販売価格 ¥13,750,000(ペア/税込)*配送費別
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 方式 | 4.5ウェイ・6スピーカー・バスレフ型 |
| 使用ユニット | 29mmツイーター ×1 / 180mmミッドレンジ ×1 / 280mmウーファー ×2 / 380mmサイドウーファー ×1 / リア・サウンドシェーパー ×1 |
| リアユニット | Sound Shaper(サウンドシェーパー) 2ウェイ・アンビエントスピーカー |
| サイド・ウーファー | 380mm 超低域専用ウーファー ×1 |
| フロント・ウーファー | 280mm アルミ/マグネシウム合金振動板 ×2 |
| ミッドレンジ | 180mm ネオジムマグネット搭載 |
| ツイーター | 29mm リングラジエーター型 |
| エンクロージャー | Anima Legata(アニマ・レガータ) 構造/木製キャビネット+アルミ構造体 |
| クロスオーバー周波数 | 80Hz / 260Hz / 2.2kHz |
| 出力音圧レベル | 92dB(2.83V / 1m) |
| 公称インピーダンス | 4Ω |
| 再生周波数帯域 | 16Hz ~ 40kHz |
| 外形寸法 | 約W570 × H1,755 × D780mm |
| 重量 | 約300kg(1本) |
| 発売時期 | 2017年 |
DYNAMIC AUDIO 5555
ダイナミックオーディオ フォーファイブ
7Fにて実物をご覧いただけます。
■試聴はご予約の上で承りますので下記よりお申し込み下さい。 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/appoint.html
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