
チベットの砂曼荼羅ってすごいですよね。むちゃくちゃ緻密で鮮やかな図を砂で描く技術と労力はもちろんですが、なにが良いって最後はその大変な労力をかけて作った曼荼羅を豪快にぶっ壊して川に流しちゃう。南インドのコーラムとか、アメリカ先住民のナバホ族にも砂絵文化が存在しますが、どれも”失われることをもって完成”としている。なんてことだ。音楽みたいじゃないか。
「When you hear music, after it’s over, it’s gone in the air. You can never capture it again.」
そんなわけで今回は砂絵です。
上記のように、世界各国に砂絵の文化が存在しますが、モデルにしたのは日本の盆石というやつです。これは漆黒の盆に、単色の砂でもって主に風景を描画するもので、漆黒の盆といったら我々の世界では塩化ビニールしかあり得んのです。
※「砂でレコードが汚れちゃう!」という愛ある皆さま。レコードの溝は砂よりずっと細かいので、後でHannlとかで洗えば大丈夫です。擦って傷をつけちゃったらだめだけどね。

こんな感じで描いた絵を吹き飛ばす瞬間を3Fの柴田くんに激写してもらうんですが、
予想はしていたもののこれがなかなか…

大変で…

という具合に、同じ絵を大体5、6回くらい描くことになりました。
「一度放たれた音楽は空中に消えていって、もう誰も捕まえることはできない」
欲深い我々はそれを何度も蘇らせようと試みますが、同じものにはなり得ない。けれども、その度毎にその瞬間にしかないものに出会っていると思えたら、これは寂しくも結構幸せなことかもしれません。
ところで、砂絵には元来魔除厄除の意味があるそうで、私なりのお祈りでございます。
教訓:あなたの今を大切に
こんな感じで作っています。
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ダイナミックオーディオ 企画室
佐藤 泰地