StereoSound No.215

ステレオサウンド215号 ダイナミックオーディオ広告

インドネシアにワヤン・クリっていう伝統的な影絵の芸能がありまして、あれって幻想的できれいですよね。それ以外にも多くの国に影絵遊びが存在します。どうしてでしょうね。

古くはプラトンの洞窟の比喩にも影絵が登場します。<我々が知覚できるのは、イデアそのものではなく、その影に過ぎない>ということを説明するために。うほっ。ちょうオーディオっぽい。

というわけで今回は影絵です。

端子ってキレイね

最初の最初は、オーディオコンポーネントや小さな電子部品やプラグでもって、ミュージシャンのシルエットを描いてみようと画策していたんですけれども、ほとんど同じような形をしていて像を作るのに膨大なパーツが必要になりそうだったので、すぐにこの計画は止しました。正確には2、3時間端子をこねくりまわした後、酒を飲んで寝ることにしました。

逆にミュージシャンのシルエットから考えてみると、なんといってもマイルス・デイヴィスが背骨をS字に曲げてラッパを吹いているイメージが真っ先に頭に浮かぶわけです。これ絶対に。そんな姿が手を使ってよくある鳩とか犬とかの影絵みたいにシンプルに表現できたら、宴会でウケだろうなぁ、なんて考えていたら、

うむ?そういえばトランペットってクリップに似てるよな…

マイルス・デイヴィスというよりはウィントン・マルサリス

似てました。あとは先は広がった筒状のもの…そうかゴルフのティーか。となるとカーテンレールのフックでサックス…いや、バス・クラリネットかな?

ここからは指の可動域の勝負。巫力の限界まで。オーバーソウル。

そんなわけで、口に懐中電灯を加えて、実際の撮影の日まで入念なリハーサルを繰り返しました。

あとは本番で「柴田くん!ちょっと右手と左手に同時に憑依させるから思いっきり音楽かけてくれ!」

さて、いったいどんな曲がかかっていたでしょうか。

教訓:こころのなかで音が聴こえたとしたら大成功

こんな感じで作っています。

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ダイナミックオーディオ 企画室

佐藤 泰地