
古典落語の<あたま山>。
ある男の頭の上に桜の木が生えきて、そのうち頭上でお花見まで始まってしまって大そう困る、という噺です。
サイズ感めちゃめちゃの目眩がするようなこのお話が好きなので、オーディオから桜を生やしてしまったのです。
この広告はダイナミックオーディオで毎年春にやっているSpring Festivalというイベントのお知らせで作ったものでした。
ご覧になった方で「CGかな」と思った人もいるかもしれませんが、
残念ながら当方そんなスキルはございやせん。
ジオラマを実際に作ってEsoteric <Grandioso P-1>の上に載せて写真に撮ったのです。

とはいえ、ジオラマ制作のスキルならあるのかといえば、そんなこともなかったんですけど、
幸いうちの店の近所にポポンデッタっていう鉄道模型の名店がありまして、そこに行ってそれっぽいジオラマ部品を買ってきて拵えました。
桜の木だけは、パーツとして存在しなかったので、粘土で作って絵の具で塗って、
風景自体は、子供の頃によく遊んだ地元の小金井公園をなんとなく想像しながら、「ここに風が吹く」とか言いながら。
面白いですねジオラマ制作。
なんか癒される感じで、箱庭療法っていうのが存在するのも分かる気がしました。

オーディオも、広い世界を小さな空間で表現する点で似てますね。
いま思えば、花見に来て楽しんでいる人々なんかを配置しても面白かったかもしれません。いや、人知れず咲いて散る美しさ、というものもあるかな。記憶のなかで咲いている桜を想って酒を飲むのもまたオーディオ的ですね。
そうそう、風に舞う桜の花弁だけは、写真が出来上がった後で描き足しました。そこだけCG。
そんな感じでつくっています。
教訓:世界の大きさは人間の想像力次第
ダイナミックオーディオ 企画室
佐藤 泰地