StereoSound No.211

ステレオサウンド211号 ダイナミックオーディオ広告

音を食べたらどんな味がするだろう。

という妄想がありまして、もちろん実際に食べることはできないのですが、イメージのなかではできるかもしれません。

実はこの広告、最初はそんな発想を元に<オーディオ弁当>を作ってみることから始まったんですよ。

キャラ弁ってあるでしょう?

漫画のキャラクターとかを食材で表現したやつです。

それのオーディオ版を作ってみようというわけです。

さて、どうしようかな、とまずはネットで弁当箱をざっくり見回してみたんですが、どうもイメージがわかない。

街を歩いてほうぼう探し回った結果、職人の手作りみたいな木製で二段になった縦長の弁当箱を発見したんですよ。

その瞬間「やった!これだ!TANNOYだ!」って言って(心の中でね)早速買ってきて、

茹で玉子を真っ二つに割って「同軸2WAYだ!」とか言って(これは実際声に出して)どんどん作っていったんですよ。

昔からあるアルミの弁当箱ってかっこいいですよね。それを見つけてきて「あ、これはもうMcIntoshかLUXMANだな」っていい調子でできそうだったんですけども…よく考えたら、僕は弁当なんて作ったことなかったんですよね。

もう絶望的に盛り付けが下手で、どうみても食欲がわかないヤバイものが出来上がりましてですね。

しかも、想定外だったのは、食べ物は時間経過とともにどんどん不味そうになっていく。

とはいえ締め切りもヤバイので、大丈夫、きっとうちのカメラマン(3Fの柴田です)なら、なんとかカタチにしてくれる、と自分に言い聞かせて、彼に見せたんですよ。

このあとスタッフがおいしくはなかったけどいただきました

「…悪い意味で男が作った弁当!!!」

って大笑いされましてね。

いやぁ、だよねぇ、これはさすがに、ないよねぇ、ってふたりで困っちゃって、弁当箱を前にしながら腕組んで唸っちゃって。

弁当箱をパカパカ開けたり閉めたりしているうちに

「弁当食おうと思って蓋開けたらさ、お母さんが間違って半導体とか入れてたらウケるよね」

って言った瞬間「ハッ!そうか逆にすればいいのか!」って気付きまして、

<食べ物をオーディオっぽくする>ことを<オーディオを食べ物っぽくする>に切り替えたんです。

そこからはもう、「じゃあいかにもオーディオらしいカタチをしている部品は?」「OrtofonのSPUでしょ」「フォノカートリッジが一番映える皿は?」「直径30cmの円でしょ」ということで、今のカタチになったのです。

小ネタとしては、箸置きが12AX7だったり、お手拭きをまとめている紐っぽいものがWesternのスピーカーケーブルだったりします。

本当は悪ノリして、ブルーノートの色っぽいソース(絵の具)をフランス料理っぽく盛ってみたりもしたんですが、結局中心にバシっとカートリッジが乗ってるだけが一番きれいでした。

そんな感じで作っております。

教訓:美味しいご飯を毎日作ってくれる人に感謝しましょう


ダイナミックオーディオ 企画室

佐藤 泰地